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2011.12.09 Fri

不育症

category:未分類
12月9日(FRI)


皆さん、「不育症」ってご存知でしょうか?

これは妊娠はするものの、
流産や死産、早期新生児死亡を2回以上繰り返す症例を
言います。

そもそも流産は胎児の遺伝子異常によって起こり、
自然淘汰との認識が一般的ですが、
近年の研究の結果、
胎児の遺伝子異常だけではないということがわかってきました。

そのひとつが母体側の血栓症。
胎児に栄養が送られず、流産してしまうという症例です。
これは検査をすることで発見することがでる上、
治療法も確立されているということです。

そして治療しながら出産に臨めば、
その85%が無事出産できるという研究結果も発表されています。

85%って、すごく高い確率ですよね。


この不育症研究の第一人者が、
富山大学病院の副院長でもある齋藤滋教授。
厚生労働省の不育症研究チームの代表も務めた先生です。

この度、齋藤教授にもご指導いただき、
不育症について
県議会予算特別委員会で質問させていただきました。

富山県は、不妊症に対する助成事業を
全国の自治体として最初にスタートさせた先進県です。
事業化が早かっただけでなく、
全国的にも非常に手厚い支援で知られています。

しかしながら、
不育症についてはまったく対策が取られていません。
非常に残念なことです。

不育症の治療には、
飲み薬のほか、妊娠が発覚してから出産まで、
毎日朝夕2度の注射といったものがあります。
この注射、およそ8か月打ち続けると、
その回数はなんと500回にも上ることになりますが、
この在宅の自己注射については保険適用されていません。
一般的にこれら一連の治療には40万から50万かかると言われていますが、
もともと流産しやすい体質なわけですから
安定するまで緊急入院という事態もあると聞きます。
とすれば、心身ともに大変なのは言うまでもありませんが、
経済的にも負担が大きいのが現実です。

不育症も不妊症同様、非常にデリケートな問題です。
しかも一度妊娠し、喜んでいた分、流産の悲しみや絶望は
大きなものがあるでしょうし、
それを繰り返すとなると苦しみは計り知れません。

この不育症という病気、
実は妊娠したことのある女性の16人にひとりという
統計もあるのです。
富山県でも年間150人あまりが治療を受けており、
毎年300人から500人が発症している計算だとか。

このようにたくさんの症例がありながら
対策が遅れているというのは、
やはり他人が踏み込めないデリケートな領域だからということに
尽きると思いますが、
治療法があり、正しく治療しながら出産に臨めば、
85%が無事生まれてきてくれることがわかったなら、
富山県としてももっと積極的に支援するべきです。

全国的には、
去年4月に岡山県真庭市さんがいち早く助成事業に着手。
23年10月現在で14の自治体で事業化されています。


予算特別委員会では、
不育症治療の現状や
助成事業を行っている自治体の例などを挙げ、
今後の支援について、持ち時間1時間のうち、
およそ50分費やして議論させていただきました。

経済的な支援はもちろん、
不育症についての正しい知識と周囲の理解の必要性、
また天国と地獄を同時に味わうようなものですから
そのケアにも十分力を尽くさなければなりません。

知事からは、
まず、現在の不妊症相談窓口を拡大し、
不育症の専門医を配置すること。
またパンフレットを作成し、周知に努めること。
という回答をいただきました。

一歩前進かな?

しかしながら、経済的な支援については、
今後の厚生労働省の出方を見て・・・という
答弁に留まりました。

個人的には、齋藤教授から、
早ければ来年にも在宅自己注射が保険適用になると
伺っていますので、
富山県も早くもっと支援しろーと思っていますが、
経済的な支援については、
引き続き、次回の議会でやらせていただくことにします。


この不育症の勉強のためにお世話になりました
富山大学の齋藤教授、女性クリニックWe富山の若杉医師、
県不妊専門相談センターの小林さん、沙魚川さん、
真庭市健康福祉部健康推進課の辻本課長、大熊総括参事には、
心より御礼申し上げます。


子供を持ちたい、
お腹の子をなんとか無事に産みたい、
と、がんばっている方たちにとって、
少しでも前向きに治療が受けられるような社会になればと
願います。

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