2012.07.31 Tue
福島・宮城視察
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あの震災から1年4か月。
福島県と宮城県に視察に行ってきました。
今回は農業と農地復旧がメイン。
県議会自民党会派の農林水産部会に便乗して(私は文教公安部会のメンバーですが)、
東北へ。
復旧の現場やその取り組みは、いましか目にすることができないだろうと。。。
緊急時避難準備区域である南相馬市原町区にある
高(たか)ライスセンターさん。
米、麦、大豆の栽培と乾うどんの生産をしている農業法人です。

が、震災後は一変。
放射線量が出荷数値を上回り、
米、麦、大豆、いずれもアウト。
結局、自家栽培から国内産の小麦に切り替えて、うどん生産再開、
現在に至る・・・ということでした。
ただ、ここでわかったのは、
現在の除染方法ではなーんの意味もない、ということ。
なんでも一部除染を施して、放射線量の数値が下がっても
2週間もすれば元通りなのだとか。
詳しく聞いてみると、福島県のおよそ7割が山林と言われていますが、
どうやら山林に関しては、民家や田畑から20メートルの地点までしか
除染しないということになっているようです。
すると、どうなるか―――。
天候などによって、山林やまだ除染されていない箇所から
放射線物質が流れてくる、という事態に陥ってしまっているそう。
南相馬市の職員の方も、点ではなく、面で除染をしなければ意味がないと
憤っていしゃっしゃいました。(←政府に対してね)
そしてもうひとつ、作物は土からだけでなく、水に含まれる放射性物質を
そのまま吸い上げてしまうため、川などから水を引き込んでいる場合、
やはり上流が汚染されていると使えない。
なんともお粗末な政府の除染計画です。
もう何と言ってよいやら、ただただいたたまれないという感じでした。

↑車窓から。津波で大破した車が集められているものの、
処分はいつになることやら。
宮城県では、富山県から派遣されている職員の方と一緒に、
亘理町、岩沼市、名取市の復旧状況をそれぞれ視察。

↑↓すべて流された住宅の跡地は、いまや草原のような有り様。
まだまだ手つかずのところが目立つ。

しかし中には、海水に浸かった水田を復元し、ようやく米作りが再開したところも
ありました。
表土をはぎ取って、土壌改良剤を撒き、耕起して水を張って・・・
と田んぼ一枚一枚、気の遠くなるような作業の果ての青い水田。
ちょっと感動しました。
小さな作物の姿を目にして、ようやく復旧復興の兆しを感じた気がしました。
地元の方や作業に携わっていらっしゃる方々はもっとでしょう。
きっとこれが黄金色に染まるころ、兆しがしっかりとしたカタチに変わっていくんだろうと
思います。

↑土壌改良剤(炭酸カルシウム)を撒いた田。
白い粉が炭酸カルシウム。

↑復旧した水田。
また、津波よけ「千年希望の丘」の試験場も視察。
震災ガレキを使って丘を作り、植樹することで、
津波の威力を減衰・分散させようというもの。

↑高さ4メートル、大きさ約2000平方メートル。
↓5月26日に植樹されたばかりの植物。

これをゆくゆくは海岸線一体に設置していく計画だそうです。
このほか、大規模な太陽光利用型植物工場にもお邪魔。
農水省が手掛ける食料生産地域再生のための先端技術開発事業です。

ここは生産法人と大学や企業の研究機関が連携して、
生産技術の合理化に取り組んでおり、確立した技術として体系化することが
目的です。
宮城県を代表する園芸作物いちごを生産していた農家が壊滅的な
被害を受けたこともあり、ここではいちごとトマトの2種類が栽培されています。

↑ちなみに排水は完全循環型だとか。すごい。
ただこれは、国が多額の費用を投入したモデルケースで、
29年度までの研究展開が終われば、生産法人に譲渡されることになっています。
富山で参考にすることはなかなか難しいかな。
とはいえ、9月20日ごろがトマトの初収穫とのこと。
ここの技術が生かされ、被災地域の園芸生産が一日も早く再開されることを
期待します。
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